ISHIDA's People イシダの人々

革新技術を法律で守るだけでなく
発明発掘から携わる企業内弁理士
効果的な特許戦略で将来価値を創造
知的財産
S・Kさん
イシダのどんな点に惹かれて入社を決めたのでしょうか
ニッチ分野で世界的な競争優位性を確立
コロナ禍で先行きが見えない時期に就職活動をしていたため、安心して働ける会社を志望していました。その意味で、人が生きるうえで欠かせない「食」のインフラを支える事業は魅力に感じました。さらにイシダは「グローバルニッチトップ企業100選」(経済産業省)に選定され、「全国発明表彰」(公益社団法人発明協会)も受賞しています。世界的な技術競争力があり知的財産権を重んじる会社で、これまで学んできた専門知識を活かしたいと考えました。少人数組織だからこそ一人ひとりが担う役割が大きく、知的財産のスペシャリストを目指すにはベストな環境だと思います。

今の仕事内容と仕事をする上で大切にしていることを教えてください
物事の本質を見極め、独自技術の価値を最大化
イシダに入社してから弁理士資格を取得し、知的財産に係る業務全般を担当しています。特許出願や拒絶応答といった一般的な弁理士業務に加えて、契約や訴訟、他部署との協働による発明発掘、知的財産についての社員教育、特許を活かした経営戦略などの幅広い業務に携わっています。
企業内弁理士として大切にしているのは、物事の本質を見極めることです。特許は取得すれば良いというものではなく、その技術の価値を最大化するために、どのように権利化するかが重要です。同じ技術でも表現次第で保護される権利範囲は異なり、権利範囲が広ければそれだけライバルメーカーを牽制できます。しかし、権利範囲を広げれば広げるほど審査官から拒絶されるリスクが高まります。審査官を納得させるには根拠に基づく論理的な反論が必要で、反論内容の組み立てには膨大な時間と労力がかかりますが、「突破口は必ずある」と信じて取り組んでいます。

仕事を通じて得られたことやそのエピソードなどを教えてください
審決取消訴訟から多くを学んだ
ある技術の特許を巡る審決取消訴訟を経験しました。審判官との面談を通じて一度は特許になる予定でしたが、度重なる第三者からの情報提供を受け、残念ながら拒絶されました。ここで諦めるのも一案ですが、その特許があると困るライバルメーカーがいると推測できるため、将来価値を考慮し経営戦略の一環として訴訟を起こしました。審決取消訴訟といった高度な仕事はベテランの弁理士でも滅多に経験できるものではありません。 反論の際は、言葉の意味を広辞苑で一言一句調べ、違う解釈ができないか検討しました。さらに開発部門の上長にヒアリングし、技術的に有利な点がないかを模索しました。また、外部の特許事務所との意見交換を通じて反論内容を強化するなど、弁理士として大きく成長する機会となりました。

今の仕事ならではの魅力ややりがいは?
最先端技術に触れながら幅広い実務を経験
法律・技術・ビジネスの知識を活かして、企業の競争力や価値向上に貢献できる専門性の高い仕事にやりがいを感じています。昨今の人手不足だけでなく、異物混入やアレルギー表示、賞味期限切れといった様々な課題がある中で、イシダはAIや画像処理といった最先端技術をいち早く取り入れ、「食」の安全・安心を提供しております。また、日々革新的な技術や発明に接しながら、弁理士として幅広い実務を経験できます。さらには、大学院進学や資格奨励金など、個人の成長や挑戦をサポートする制度もあり、向上心や探求心を持って働き続けられる企業風土も魅力です。

チーム力を誇る“イシダ”。部署やチームで協力して成し遂げたこと、または仕事でチーム力を感じたことを教えてください
異議申立てに必要な無効資料をチームで調査
ある開発中の製品が他社の特許に抵触している可能性がありました。そこで、他社の特許を取り消すべく特許異議申立てをした際、知的財産課でチームを組んで無効資料を探索しました。特許は新しく優れた技術を保護するものなので、出願前にすでに公知であった場合はその特許を無効にできます。裏付ける資料を見つける調査範囲は膨大で担当者だけでは限界があります。そこで、私や調査担当者も加わり、特許文献や企業サイト、カタログ、関連動画まで、あらゆるメディアを幅広く調査しました。その結果、他社特許を無効にできる資料を発見できた時は、まさにチーム力の勝利だと実感しました。チームワークによって予期せぬ事態に対応できたことを嬉しく思うと同時に、自分に余裕がないと快く協力するのは難しいため、個々のスキルアップの重要性も感じています。

イシダの魅力や自慢できるところは?
部署を越えて気軽にコミュニケーションができ、それが発明発掘につながる点です。開発部署とは定期的に打ち合わせを行い、発明のアイデアを出し合っています。それぞれのプロフェッショナルが知識を持ち寄り、自分が知らないことを吸収していく雰囲気があるため、お互いにWin-Winの関係を構築しております。打ち合わせで出たアイデアから試作品を製作した人に再度アドバイスを求められ、特許出願した事例も少なくありません。

ワークライフバランスはとれていますか?
特許庁や裁判所とのやり取りはすべて期限が設けられているため、計画的に業務を遂行することが重要です。期限から逆算してスケジュールを組むことで、定時退社を実践しています。効率的に仕事をする上で重要なのが心身の健康です。健康のためにも運動習慣が必要と考え、イシダの部活動としてボルダリング部を創設しました。ボルダリングはメンバー同士で教え合う文化があり、効率良くに登るために頭も使うため、戦略的な思考力が鍛えられます。

思い入れのある仕事道具
弁理士試験で苦楽を共にした相棒とも言える条例集です。すべての原点は条文にあるため、迷った時は必ず立ち返ります。自信を失いそうな時に見ると、「あの辛い試験に耐えられたなら、これから先も大丈夫」と思わせてくれる存在でもあります。