規格衡器と改正度量衡法

大正15年以降の規格衝機の1つ規格台秤一号型

大正時代の後期には、衡器製作に係わりの深い二つの出来事がありました。衡器の規格化と改正度量衡法の公布がそれです。第一次世界大戦(1914~18)に参戦したわが国は、兵器生産の経験を通じて工業製品の規格統一の重要性を痛感したことから、大戦直後の大正8年(1919)6月に「度量衡及工業規格統一調査会」を設置し、さらに大正10年(1921)4月に、組織を改めて「工業品規格統一調査会」を発足させました。「工業品規格統一調査会」は広範な分野にわたって規格制定を進めましたが、度量衡部分については台秤と上皿桿秤の規格化をおこない、「規格衡器」を誕生させました。
 規格衡器は大正14年(1925)8月に商工省によって認可され、翌15年7月の度量衡法の構造規定の改正を経て急速に普及するに至りましたが、明治24年(1891)に公布された度量衡法は、メートル原器に準拠しながらも尺貫法の単位を使用するという変則的なものであったため、これを本来のメートル法に統一しようというのがその時の改正の主眼でした。
 第一条に「度量ハメートル、衡ハキログラムヲ以テ基本トス。メートルハ融解シツツアル純粋ノ水ノ氷ノ温度二於ケル国際メートル原器ノホス所ノ長トス、キログラムハ国際キログラム原器ノ質量トス。」
と明記された改止度量衡法は、大正10年(1921)四月11日に公布され、大正13年(1924)7月1日から施行されました。

しかしながら、その施行に際して、指定業種については10年間、その他の業種については20年間の猶予期間を置いて、メートル法以外の単位の使用を経過的に認め、さらに昭和8年(1933)12月の第一次延期の勅令、昭和14年(1939)の第二次延期の勅令によって、猶予期間は最終的に昭和33年(1958)12月31日まで延長されることとなり、結局この時の度量衡法改正は、その実施を第二次世界大戦終了後の昭和34年(1959)1月1日まで待たなければならなかったのです。

一覧へ戻る