人の「心」をはかる
神様の道具
紀元前~700年頃
縄文時代~古墳時代


天秤は昔から、大切なものをはかるために使われてきました。そのことは、古代エジプトのパピルス『死者の書』を見てもわかります。 『死者の書』とは、いわゆる死後の世界のガイドブック(挿絵入り)で、死者の棺に必ずおさめられました。これには、永遠の魂を得るために死後に会う神々や悪霊にどう対応するかがかかれています。最後の審判の場面では、こんな様子が描かれています。 冥界の王オシリスの裁判の広間で、死者が生きている間に悪いことをしなかったどうかが天秤を使って調べられます。天秤の片方の皿に死者の心臓、つまり心を置き、もう一方の皿に正義と真理の女神の羽を置きます。もしもその人が悪いことをしてきたならば、心臓には悪事がたまっていて羽よりも重くなります。羽より心臓が重ければ死者の心臓はけものに食べられてしまい、羽とつりあえば永遠の魂を約束してもらえます。また天秤は仏教の世界にも登場し、閻魔大王が人間の生前の行いを審判するのに使われたとか。 このように天秤は善悪をはかる神の道具として、しばしば裁きの場に登場しています。ギリシャ神話では、女神テミスが正義と公正のシンボルとして天秤を持って現れています。ヨーロッパでは裁判所などにテミスの像を見ることができます。なお、日本では弁護士がつけるバッジに、公平と平等の象徴として天秤が彫刻されています。
取材協力:秤乃館