種繭の雌雄重量鑑別機
養蚕事業の中でも、特にマユの交配は大変難しく、同族の雌雄が交配すると劣性になるために雌雄を識別して別々に交配させなければならない。ところがこの雌雄の識別には非常に高度の技術を要し、よほどの熟練者でないと正確な見分けがつきませんでした。
そこで色々調べてみると、ごくわずかだがマユの雌雄に重さの違いがあり、雌は雄よりもいくらか目方が重いことがわかりました。そこで計算機に一定の帯線を設け、それより重いものは雌、軽いものは雄、といった分類が可能だと考えました。重量差は10mgであるが、相手は生き物である識別作業中の生理的影響を考え、処理が容易なように、マユの表面にある糸ケバを焼き切る周辺関連技術を開発 その後、種マユの給繭装置装置も加わって強化されました。
この開発の中には"計量"の新しい可能性が数多く含まれていました。つまり重量差を利用して、モノを識別し、選別するという考え方です。大きさ、太さ、形状・・元来、人間の眼と手で、つまり五感で行ってきた識別行為を、機械が行っていく。ある意味では革命的な着想だったと言えます。
この「マユの雌雄鑑別機」のように、はかりを核としたシステム技術、「計量」結果を判断し、さらに他の機器と連携していくなど、まさに生産ラインの中枢の機器としての役割を担うようになったのです。